派遣社員って副業しても大丈夫?20万円の境目が重要となる理由

人材派遣コラム

派遣で働き始めたものの、給料が正社員と比べて少なく、月によってバラつきがあることに不安を感じている人は多いようです。

そこで、少しでも収入を増やすために、副業を考えたことがあるかもしれません。

そもそも派遣社員が副業をすることは問題ないのでしょうか?

知っておくべき点を確認してみましょう。

派遣社員は副業してもいいの?

一般的に、パートやアルバイトは副業が可能で正社員は副業禁止というイメージが強いですが、いったい何によって規制されているのでしょうか?

実は、各会社で定められた「就業規則」によって規制を受けることになり、法律では一切禁止されてはいないのです

「就業規則」とは、労働時間や給与など、従業員がその会社で働くための規則が定められているものであり、直接雇用をする人が10人以上いる場合に、会社で作成することが義務となっています。

会社によっては、正社員・パート・アルバイト別に分けて作成している場合もあり、従業員はそのルールに従わなければなりません。

つまり、就業規則で副業禁止が定められていなければ、正社員でも副業はできることになります。

しかしながら実際には、本業に支障が生じるという理由で禁止されている場合が多いようです。

では、派遣社員の場合はどうでしょうか?派遣社員の場合も正社員の人たちと同様に、「就業規則」によって副業をしてよいのかどうかが規制されています

ただし、従うべき就業規則は派遣先のものではなく、雇用主となる派遣会社の就業規則が適用されるということです。

それぞれの派遣会社によって、副業に関する規則は異なっていますので、副業を考えるときには、事前に就業規則を確認してみる必要があります。

副業のニーズ

派遣を含めた非正規社員が副業をする理由としては、一つの仕事では十分な収入が得られないうえに不安定であることが挙げられます。

現在、政府で取り組んでいる「働き方改革」でも副業を奨励していますが、その背景には、労働人口の減少や長時間労働、労働生産性低下の問題があります。

副業を推進することで、労働力を活性化し、労働生産性を上げるというのが政府の狙いのようですが、この煽りを受け副業を推奨する企業も増え始めているようです

今や大企業で働く正規雇用の人たちでさえも、不安定な経済状況と多様化するビジネスの世界で、いざというときのために副業に関心を示すようになってきました。

ただし、派遣社員と正社員とでは、副業をする目的意識は多少異なっているようです。

派遣社員は主に生活のために収入をアップさせることですが、正社員の場合は、スキルアップや人脈作りなど、自分のキャリアにプラスとなる副業を選ぶ傾向にあります。

副業を始める前に -所得20万円の意味することとは?

会社勤めの人の年末調整は会社でしてくれるように、
派遣社員の場合も、雇用関係のある派遣会社で年末調整をしてもらえます。

しかしながら、本業として収入を得ている所得以外の所得については、派遣会社での年末調整の対象にはならず、自分で確定申告をすることになります

「所得」には、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類があり、給与と退職金は金額に応じた控除額を、その他の収入は必要経費を差し引いた部分が「所得」となります。

ここでポイントとなるのは、本業で年末調整をしてくれる会社の従業員(派遣社員を含む)の場合、「給与所得・退職所得以外」の所得の合計が20万円以下であれば、確定申告をする必要はないということです。

言い換えれば、本業も副業も「給与所得」に該当する場合には、副業の収入金額が20万円以下であったとしても、必ず確定申告が必要ということになるのです。

派遣社員でも手軽に始められる副業とは

派遣社員の場合、賞与や退職金がないことから、正社員と年収を比較するとどうしても大きく差がついてしまいます。

子供や家族のために急な出費が必要になったときには、毎月の給料では賄いきれなくなり、副業をしなくてはいけない状況に追いやられてしまうこともあるかもしれません。

そこで注意したいのは、副業としてアルバイトやパートなどの「給与所得」に該当する働き方を選んだ場合です。

アルバイトやパートの給料も、正社員と同様、勤務先から役所に給与支払報告書が提出されます。

役所では税法の関係上、本業と副業で得た給与所得をすべて合算して住民税が計算され、その内、一番多く給料を支払った会社のほうから税金(住民税)がまとめて天引きされる仕組みになっています。

派遣社員の場合は、住民税は給与から天引きされる特別徴収ではなく、
個人で納付する普通徴収が一般的ですが、いずれにしても翌年からの住民税が増えることになるのは覚悟しておかなければなりません。

さらに「給与所得」の場合は、収入の金額に関係なく、確定申告も必要となります。

これらを避けたい場合には、「給与所得以外」に該当するもので収入を得るというのも一つの方法です。

派遣社員でも手軽に始められる「給与所得以外」で収入を得る手段としては、以下のようなものがあります。

ブログの広告収入(アフィリエイト)

自分のブログ経由で紹介した商品が売れた際に得られる広告収入のことで、「雑所得」に該当します。

必要経費に、レンタルサーバー代やドメイン取得代、コンテンツ商材費などを含めることができるようです。

無料ブログを使えばすぐに始められ、手軽にできる副業として人気があります。

株取引

株や投資信託を売却したことによる「譲渡所得」となります。

通常、本業の給与所得がある人の場合、給与所得および退職所得以外で20万円以下の所得は確定申告が不要ですが、株取引の場合は、「源泉徴収ありの特定口座」の場合には、利益の額に関わらず確定申告は不要となります。

FX

FXとは「外国為替証拠金取引」のことで、二国間の通貨を売買し、その為替差益を運用することをいいます。

少額の資金で始められ、少ない金額でも多額の利益を生むことができる反面、損失となるリスクもあるので、注意が必要です。

FXは「先物取引に係る雑所得等」に該当し、収入からパソコンやスマホ代などの必要経費を除いた所得が20万円を超えると確定申告が必要となります。

クラウドソーシング

クラウドソーシングとは、ネット上で不特定多数の人々に業務を外注するサービスのことで、そこから収入を得ると「雑所得」に該当します。

仕事の依頼・受注はすべてネット上で行われ、自分の予定に合わせて、24時間いつでも仕事ができるのがメリットです。

専門的なスキルが必要なものから、誰でもできるアンケートやブログ記事作成など、幅広く扱っており、本業に支障なく副業ができることから人気も高まっています。

フリーマーケット・オークション

フリーマーケットやオークション、ワンデイショップなどから収入を得る場合は「雑所得」となります。

商品の仕入代金や材料費、ブース代など、出店するためにかかった費用を必要経費として差引くことができます。

副業をするときには -まとめ

いかがでしたか?

派遣社員が副業をする場合には、必ず本業の派遣会社の就業規則に目を通して、副業が禁止されていないかをまず確認しましょう。

さらに、本業に支障をきたすほど、副業に力を入れすぎないことです。

本業は生活をするうえで大切な収入源となるものですので、副業をすることでおろそかになってしまっては、副業をする意味もなくなってしまいます。

体調管理にも気を配り、無理をしない程度に副業に取り組むことが大切です。

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